野菜の力
玉ねぎの効能について
1.玉ねぎの種類
一般的に出回っている玉ねぎの多くは黄玉ねぎという種類のもので、辛みがあり貯蔵性に優れているという特徴があります。
生食に向いているものとしては、白玉ねぎや赤玉ねぎ(紫玉ねぎ)があります。
黄玉ねぎに比べると、辛みが少なく甘みがあり水分が多いのが特徴で、サラダなどに適しています。
その他、香味野菜やスパイスとして用いられるシャロット、白たまねぎの葉茎の部分を大きくしたものでねぎの代わりにもなる葉玉ねぎ、煮込み料理で使われる小さな黄玉ねぎのペコロスなどが玉ねぎの主な種類です。
また、新玉ねぎとは暖かい地域で早取りで収穫され、3月から4月ころに出荷される黄玉ねぎや白たまねぎのことをいいます。
通常、玉ねぎは乾燥させてから出荷しますが、新玉ねぎは乾燥させずに出荷します。そのため水分が多くて柔らかく辛みが少ないのが特徴ですが、両者に栄養成分の違いはありません。
参考: 独立行政法人 農畜産業振興機構「野菜ブック 葉茎野菜②玉ねぎ」
農林水産省 消費者の部屋「新たまねぎと普通のたまねぎとは品種が違うのですか。」
2.玉ねぎの栄養成分・栄養素と期待できる効能
玉ねぎは身近な野菜の一つですが、含まれている栄養素については詳しく知られてはいないかもしれません。
玉ねぎは食物繊維やカリウムをはじめとする栄養素や、硫化アリルやケルセチン、オリゴ糖などの特有の栄養成分を含みます。血液サラサラ、高血圧予防、腸活にもぴったりな野菜です。
玉ねぎ1玉は約200gで、可食部が188gです。1玉食べても62kcalほどですが、さまざまな栄養成分や栄養素をたっぷりと補給できます。具体的に、玉ねぎに含まれる主な栄養成分と効能を見てみます。
1)「硫化アリル」…血液サラサラ効果
玉ねぎには硫化アリルが含まれ、血液サラサラ効果(抗血栓作用)が期待されています。
血圧、血糖値、血中コレステロール値の高い方は血栓が作られやすいリスクがあるため、より食生活に気を配る必要があります。玉ねぎを上手に活用するとよいでしょう。
2)「ケルセチン」…抗酸化作用
玉ねぎに含まれるケルセチンは、植物に存在する色素や苦みの成分であるポリフェノールのうち、フラボノイド色素といわれるものの一つで抗酸化作用があります。
抗酸化作用とは、細胞を傷つけて健康に影響を与える活性酸素を除去する働きのことです。
ケルセチンには血管をしなやかに保つはたらきがあるといわれており、動脈硬化の予防やコレステロール、血圧の上昇抑制に効果的であると報告されています。
他にも抗炎症作用、肥満を防ぐ効果などが期待されています。
ケルセチンには油に溶けやすく水に溶けにくい性質があるため、炒め物など油を使って調理すると効率良く摂ることができます。一方、ケルセチンには、体内に吸収されにくいというデメリットがあります。
その弱点を改善し、効果的に吸収できるようにつくられたのが「ケルセチン配糖体」です。
ケルセチン配糖体はケルセチンと糖を結合することで水に溶けやすく吸収しやすいようにしたもので、飲み物に入れて手軽に摂ることが可能です。ケルセチンを毎日手軽に摂りたい方はこちらを試してみるのも良いかもしれません。
3)「オリゴ糖」…腸活に役立つ
玉ねぎはオリゴ糖を含み、腸内環境を整えるのに役立ちます。玉ねぎは、野菜の中でもオリゴ糖が特に豊富です。
オリゴ糖は腸内で善玉菌のエサとなり、善玉菌を効率よく増やしてくれる働きがあります。
腸内環境を整えることで、便秘解消に役立つだけでなく、肌のコンディションを整えたり、免疫機能を高めたりするのにも役立ちます。
4)「カリウム」…高血圧を防ぐ
玉ねぎはカリウムを含み、高血圧を防ぐ働きが期待されます。
カリウムは余分なナトリウムとともに水分を排出する作用があるため、血圧を下げてくれます。
※参照:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」,厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
【玉ねぎに含まれる主な栄養素とその含有量(100g当たり)】
栄養素 含有量
食物繊維 1.5g
ビタミンB1 0.04mg
ビタミンB6 0.14mg
パントテン酸 0.17mg
葉酸 15μg
ビタミンC 7mg
カリウム 150mg
鉄 0.3mg
銅 0.05mg
タンパク質 1.0g
脂質 0.1g
炭水化物 8.4g
エネルギー 33kcal
出典:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
以下、主な栄養素と各効能を紹介します。
1)食物繊維
玉ねぎには食物繊維が豊富に含まれており、100g当たりの含有量は1.5gです。
食物繊維は炭水化物の一種です。
炭水化物とは
たんぱく質や脂質と並び、ヒトの体のエネルギー源となる「エネルギー産生栄養素」の一つです。体の中でエネルギーとして使われる糖質と、消化酵素では消化することができない食物繊維で構成されています。
食物繊維の主なはたらきは、便秘の予防や血糖値の上昇抑制、血液中のコレステロール濃度の低下などです。
現代の日本人は食物繊維の摂取量が少ない傾向にあるため、積極的に摂りたい栄養素の一つです。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」において食物繊維の摂取目標量が定められています。
目標量は、生活習慣病の予防として日本人が当面目標とすべき摂取量として設定されたものです。
食物繊維の1日当たりの摂取目標量は男性の場合18~64歳で21g以上、65歳以上で20g以上です。
一方女性は18~64歳で18g以上、65歳以上で17g以上です。
2)ビタミンB1
玉ねぎにはビタミンB1も豊富に含まれています。
玉ねぎ100g当たりのビタミンB1含有量は0.04mgです。
ビタミンB1は炭水化物からエネルギーをつくり出す際に助けとなる栄養素です。
また、皮膚や粘膜が健康な状態を保つ上でも重要な役割を担っています。
ビタミンB1は糖質を多く含む食品や大量のアルコールを摂った際に、需要が高まり不足しやすくなります。
不足すると、特に糖質をエネルギーとして利用している脳や神経に影響を及ぼすことがあるので注意が必要です。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」において、ビタミンB1については摂取推奨量が定められています。
推奨量は摂取不足の予防を目的として対象年齢のほとんどの人が充足している量を意味しています。
ビタミンB1の1日当たりの摂取推奨量は、男性では18~49歳は1.4mg、50~74歳は1.3mg、75歳以上は1.2mgです。
女性は18~74歳で1.1mg、75歳以上で0.9mgです。
3)ビタミンB6
玉ねぎにはビタミンB6も豊富に含まれています。100g当たりのビタミンB6含有量は0.14mgです。
ビタミンB6は、たんぱく質、脂質、炭水化物や神経伝達物質の代謝が行われる際に補酵素としてはたらきます。
体内へ取り込んだ食べ物や薬を分解したり、そこから別のものを産生したりするはたらきを代謝といいます。また、補酵素は体内でさまざまな化学反応を起こす酵素がはたらく際の助けとなる物質で、多くはビタミンを材料として作られます。
また、ホルモンの調節にも関与しています。
食事から十分に摂取できない場合やビタミンB6の阻害剤の服用により、ビタミンB6の不足を招くことがあります。
不足すると、湿疹、口角炎、貧血、免疫機能の低下などの症状が見られます。
ビタミンB6の1日当たりの摂取推奨量は、男性は18歳以上で1.4mg、女性は1.1mgです。
4)パントテン酸
玉ねぎにはパントテン酸も豊富に含まれています。
玉ねぎ100g当たりのパントテン酸含有量は0.17mgです。
パントテン酸は水溶性ビタミンの一種で、脂肪を構成する「脂肪酸」や糖の代謝に関与しています。
パントテン酸が不足すると、手足のしびれ、頭痛、疲労、食欲不振などの症状が現れることがありますが、多くの食品に含まれているため不足の心配はほぼないとされています。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」において、パントテン酸は摂取目安量が定められています。
日本人の食事摂取基準では、根拠がないために推定平均必要量の設定ができない場合、「目安量」が設定されています。目安量以上を摂取することで栄養素の不足はほぼ心配なく、一定の栄養状態を維持するのに十分な量とされています。
パントテン酸の1日当たりの摂取目安量は、男性は18~49歳で5mg、50歳以上は6mgです[12]。
女性は18歳以上で5mgです。
5)葉酸
玉ねぎに豊富に含まれる栄養素の一つには葉酸もあります。
玉ねぎ100g当たりの葉酸含有量は15μgです。
葉酸はビタミンB群の一種で、赤血球の形成や細胞増殖に必要とされるDNAの合成に関わっています。
性別や世代を問わず重要な栄養素ですが、特に妊娠初期に不足すると胎児の神経管の成長が正常に行われず、神経管閉鎖障害と呼ばれる先天性異常の原因となることが分かっています。
厚生労働省からは妊娠の1カ月以上前から妊娠3カ月までは1日400μgの葉酸を栄養補助食品から摂取することで、胎児の神経管閉鎖障害の発症リスクを低減できる可能性があるという報告もされています。
葉酸の1日当たりの摂取推奨量は、男女共に18歳以上で240μgです。
6)ビタミンC
玉ねぎにはビタミンCも豊富に含まれています。
玉ねぎ100g当たりのビタミンC含有量は7mgです。
ビタミンCは、皮膚や軟骨などの材料であるコラーゲンをつくるために欠かせない要素です。
また、体内で過剰に発生すると害になる活性酸素の作用を抑える抗酸化物質としても重要な役割を担っています。
さらに、消化管では鉄の吸収を高める助けとなります。
ビタミンCはヒトの体内ではつくることができないため、食べ物から摂取しなければなりません。
不足すると血管が弱くなり出血しやすくなる他、疲労感や倦怠(けんたい)感などの症状が見られるようになります。
欠乏状態になると、歯肉や皮下の出血、貧血、心臓障害が起こることもあります。
ビタミンCの1日当たりの摂取推奨量は、男女共に18歳以上で100mgです。
7)カリウム
玉ねぎにはカリウムも豊富に含まれています。
玉ねぎ100g当たりのカリウム含有量は150mgです。
カリウムはミネラルの一つで、大部分が細胞内に存在し細胞内の浸透圧を一定に保つはたらきをしています。
浸透圧とは
濃度の異なる溶液が、半透膜(水など小さな分子のみを通す膜)を間にして存在する場合に生じる圧力のことです。水は濃度の低い溶液から高い方の溶液に移動し浸透圧を生じます。
またナトリウムを体外へ排出するはたらきもあり、摂り過ぎた塩分を調節するために役立ちます。
ナトリウムとは
ヒトの体に必要なミネラルの一つで、食事からは主に食塩(塩化ナトリウム)の形で摂取されます。 摂り過ぎるとむくみや口の乾燥の原因となる他、高血圧や胃がん、食道がんを引き起こす可能性が高くなるといわれています。
カリウムが不足すると、脱力感や食欲不振、精神障害、不整脈などの原因となることがあります。
カリウムの1日当たりの摂取目標量は、18歳以上の男性で3,000mg以上、女性で2,600mg以上です。
カリウムについてさらに詳しく知りたいという方は以下の記事をご覧ください。
8)鉄
玉ねぎに多く含まれる栄養素の一つには鉄もあります。100g当たりの鉄含有量は0.3mgです。
鉄はミネラルの一つで、ヒトの体内では70%が赤血球のヘモグロビンや筋肉中のミオグロビンに存在し、残りは貯蔵鉄として肝臓や骨髄、筋肉などに含まれます。
ヘモグロビンは赤血球に含まれる鉄(ヘム)とたんぱく質(グロビン)が結び付いた赤色素を持つたんぱく質のことです。ミオグロビンも同じくヘムとグロビンから構成されるたんぱく質で、主に心筋や骨格筋に含まれています。
鉄不足によりヘモグロビンが減り「鉄欠乏性貧血」を発症すると、集中力の低下や頭痛、食欲不振などの症状が見られることがあります。
また、ミオグロビンの不足では筋力低下や疲労感などの症状が現れることがあります。
鉄にはヘム鉄と非ヘム鉄があり、ヘム鉄は肉や魚、非ヘム鉄は野菜などに含まれています。
日本人の食事は非ヘム鉄を多く含む傾向にありますが、非ヘム鉄はヘム鉄に比べて体に吸収されにくいとされています。
ただし、非ヘム鉄はヘム鉄と一緒に摂ると吸収されやすくなります。
また、動物性たんぱく質やビタミンCも非ヘム鉄の吸収を助けてくれます。
鉄の1日当たりの摂取推奨量は、男性は18~74歳で7.5mg、75歳以上で7.0mgです。
女性は月経がある場合18~49歳で10.5mg、50~64歳で11.0mg、月経がない場合18~64歳で6.5mg、65歳以上で6.0mgです。
9)銅
玉ねぎには銅も豊富に含まれています。
玉ねぎ100g当たりの銅含有量は0.05mgです。
銅はミネラルの一つで、骨や筋肉、血液に含まれています。
たんぱく質と結合して酸素の運搬などに関わる他、鉄と共に血を作る作用を行う役割も担っています。
銅の1日当たりの摂取推奨量は、男性は18~74歳で0.9mg、75歳以上で0.8mgです。
女性は18歳以上で0.7mgです。
健康なヒトでは通常の食生活で銅が不足することはほぼありませんが、銅が含まれない輸液を使用した際や銅の含有量が少ないミルクが主な栄養源である乳児、低出生体重児などで欠乏が見られることがあります。
摂取量に関する参考資料:
文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
3.玉ねぎの栄養を逃さない食べ方のポイント
玉ねぎはさまざまな栄養成分や栄養素を豊富に含むことを紹介しましたが、これらを効率的に摂るには、どのような食べ方がよいのでしょうか。
・血液サラサラを期待するなら生で食べる
血液サラサラ効果が期待されている硫化アリルは、加熱に弱い成分です。
硫化アリルをムダなく摂るなら、生で食べましょう。
スライスしてサラダに、みじん切りにしてドレッシングに活用するなどがよいでしょう。
・腸活をするなら加熱してたっぷり食べる
腸活目的で玉ねぎを取り入れるなら、加熱して食べるのがおすすめです。
加熱することでカサが減り、たっぷり食べられるようになります。
またヨーグルトなどの乳酸菌を含む食べ物を組み合わせてとるようにすると、より腸内環境が整いやすくなります。
・皮の近くも活用する
抗酸化作用が期待されるケルセチンは、玉ねぎの皮の近くに多く含まれることが知られています。
皮を剥きすぎず、皮の近くも活用しましょう。
硬さが気になる場合は、薄く切るなどの工夫をしてみてください。
4.玉ねぎの栄養成分は調理法でどう変わる?
玉ねぎは調理によって栄養成分がどう変化するのでしょうか?
・炒める・煮るなどの加熱すると?
玉ねぎに含まれる硫化アリルは熱に弱いため、炒めたり煮たりするなどの加熱により減ってしまうことがあります。
しかし、ケルセチンは熱に強いことが知られているため、心配は不要です。
またほかの栄養成分も、加熱したからといってすべてなくなってしまうわけではありません。
目的にあわせて調理法を決めるとよいでしょう。
・水にさらすと?
玉ねぎの辛味を抜くために水にさらすと、硫化アリル、カリウム、ビタミンCなどの水溶性の成分が減ってしまう恐れがあります。
水につける時間が長くなるほど流出しやすくなるため、ムダなく摂りたい場合は水につける時間を最小限にしてみましょう。
・みじん切りにすると?
硫化アリルは細胞が壊れることで発生するため、玉ねぎをみじん切りにすることで、硫化アリルがより発生します。みじん切りにした玉ねぎは、ドレッシングやソースに活用するとよいでしょう。
・冷凍すると?
玉ねぎを冷凍することで、硫化アリルの量が減ってしまう場合があります。
硫化アリルの効果を期待したい場合は、冷凍しない方がよいでしょう。
しかし、ほかの栄養素は大きく減る心配はありません。
玉ねぎを長持ちさせるよい保存方法であるため、上手に活用しましょう。
5.栄養豊富な玉ねぎを取り入れる際の注意点
玉ねぎを健康づくりに取り入れる際は、知っておいてほしい注意点があります。
玉ねぎは食べすぎに注意が必要です。
特に生の玉ねぎをたくさん食べることで、硫化アリルが胃腸に刺激を与え、胃腸の不調を引き起こす可能性があります。
玉ねぎは大変健康促進に役立つ野菜ではありますが、過ぎたるは及ばざるがごとしです、偏った食事は控え、いろんな食材をバランスよく食べることが、結局は健康促進には最もプラスとなるでしょう。
ビワの効能について
ビワは、葉や果実など植物全体が古くから健康果実として利用されてきました。ビタミン類やミネラル類、ポリフェノールなどの有効成分が豊富に含まれ、生活習慣病や感染症の予防、アンチエイジング、疲労回復など様々な効果が期待されています。
●ビワとはどんな果物?
ビワ(枇杷)は、分類はバラ科ビワ属で中国原産のオレンジ色の果物です。日本には江戸時代に中国から伝わり、品種改良を重ね今の果物になりました。関東より西の地域で主に見かけられ、長崎や千葉が代表的な産地です。
ビワは常緑広葉樹で、自家結実性といって自身の花粉で受粉し果実を付けることができます。栽培するには苗木からは5年前後、種からは8年ほどで実をつけます。
秋から冬にかけて5枚の花弁を持った白い花を咲かせた後、実をつけます。薄い毛に覆われた小ぶりの果実に比べ、非常に大きな葉を持ちます。初夏に旬を迎えるビワは、季節感を感じられる果物として広く親しまれています。また、ビワの葉は古くから漢方や中国伝統医学で用いられていたことが知られています。
大きくてかたい葉は長いものだと20cmほどにもなり、この葉や実が楽器の琵琶(びわ)に似ているため、ビワという名がついたとされています。葉は琵琶葉、種子は琵琶核として古くから民間療養の薬として利用されており、咳止め、胃炎やむかつきを鎮める効果がある薬用茶として愛飲されてきました。
ただし、梅と同じバラ科のビワは葉や種子、未熟果にアミグダリンという物質を含み、直接摂取すると胃酸と反応して猛毒の青酸を発生させるため、生薬として利用されているとはいえ、果肉以外の部位の取り扱いには注意が必要です。
●ビワの歴史
中国では6世紀頃からビワが栽培されていたといわれ、古くから葉が漢方として使われていました。
日本では江戸時代中期、千葉県富浦で本格的なビワの生産が始められました。その頃のビワは小ぶりでしたが、天皇や皇族の方々へ贈る「献上ビワ」として使用されていました。その後、江戸時代末期になると、現在のような大ぶりのビワの生産が盛んに行われるようになりました。
●ビワの収穫時期や旬は?
ビワの旬は初夏(5月から6月ごろ)ですが、ハウス栽培や早生品種に改良されたものもあり、早くは1月に実をつけるものもあります。品種それぞれの収穫時期と地域により早春~夏まで楽しむことができます。ただし、傷みやすく寒さにも弱いため、おいしい期間は短いと言えます。
●ビワの果肉に含まれる栄養素
① βカロテン
βカロテンは体内でビタミンAに変化します。ビタミンAは発育を促し、皮膚や粘膜を保護して免疫力の向上を担っています。また、目の網膜の主成分であるロドプシンという物質の原料になり、薄暗いところでも光を感じ、視力を維持する作用があります。
生のビワ100gあたり、810㎍のβカロテンが含まれています。
② βクリプトキサンチン
βクリプトキサンチンとは、ビワやミカンに含まれるオレンジ色の色素のことで、カロチノイドの一種です。同じカロチノイドの一種であるβカロテンなどと比べ、研究途上の物質ですが、体内で活性酸素や発がん性物質の働きを弱める働きがあることが知られています。
そのほかにも、骨粗しょう症予防、糖尿病の進行の抑制、美肌効果などが期待されています。
生のビワ100gあたり、600㎍のβクリプトキサンチンが含まれています。
③ カリウム
カリウムは主に私たちの細胞内液に含まれ、過剰に摂取したナトリウムを排泄し、むくみを解消して血圧を正常に保つ働きがあります。また、近年の研究ではカルシウムが骨に沈着するのを助け、骨粗しょう症予防に一役かっていることがわかってきました。生のビワ100gあたり、160mgのカリウムを含んでいます。
④ 食物繊維
食物繊維は便のかさを増し、腸を刺激し、便の排出を促す作用があります。また、血糖値の上昇を防ぐ働きや、コレステロールの吸収を抑制する働きもあります。
さらに、食物繊維を含む食品は食後の腹もちがよいため、肥満防止にもつながります。
⑤クエン酸
あまり強い酸味を感じないビワですが、クエン酸も含まれています。クエン酸は私たちが食べたものを体内で分解し、エネルギーを生成する働きを助けます。
また、体内に溜まった疲労物質である乳酸を、炭酸ガスと水に分解して排せつする働きを促進させます。これをクエン酸サイクルといい、体内の脂質や酸性物質である乳酸を減らし、血液をサラサラに保つ働きがあります。
⑥ クロロゲン酸
クロロゲン酸はコーヒーから発見されたポリフェノールの異種で、強い抗酸化作用があることが知られています。クロロゲン酸には肝臓に脂肪が蓄積することを防ぐ働きや、体内で乳酸やアミノ酸から糖を生成する働きを抑え、糖尿病を予防する効果があります。
●ビワの葉に含まれる栄養素
サポニン
サポニンは植物に含まれる発泡成分で、水に溶かすと泡立つ特徴があります。油を溶かす性質があり、脂肪やコレステロールを取り除く働きがあります。また抗酸化作用も期待でき、健康づくりにつながる成分です。
タンニン
タンニンはポリフェノールの一種で渋みが特徴です。この渋みはタンニンが舌や粘膜のタンパク質と結合することにより感じるものなので、味覚というよりは触覚に近い感覚と言われています。ビワの葉にもタンニンが含まれており、昔から薬として利用されていました。抗酸化作用、抗菌、殺菌作用、消臭効果などがあると言われています。
【ビワの種子に注意!】
ビワの種にはアミグダリンという青酸を含む天然の有害物質が含まれています。一時期「ビタミンB17」などと呼ばれがんに効果があるとされていましたが、今は否定されており、アミグダリンの健康効果をうたう情報については科学的に十分な根拠はありません。
日本では農林水産省も食べないように注意喚起しています。また、アメリカではFDA(米国食品医薬品局)によりアミグダリンの販売は禁止されており、アミグダリンがめまい、頭痛、嘔吐(おうと)などを引き起こす危険性があると言われています。
葉にもアミグダリンが含まれているため、一度に大量に摂取しないよう注意が必要です。
参考:農林水産省関連サイト:
https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/foodpoisoning/naturaltoxin/loquat_kernels.html
(上記サイト中に「製造者等による検査により、シアン化合物の濃度が、厚生労働省が食品衛生法第6条違反として扱うこととした、10 mg/kgを超えていないことが確認された食品は、適量であれば、安全に食べられます。」とあります。この“適量”についてどの程度なのか?を問い合わせましたが、具体的なガイドラインはない、という回答でした。問い合わせ先:農林水産省 消費・安全局食品安全政策課)
【抗ガン効果について】
上記の一方で、2019年発表された研究論文によると、アミグダリンが抗癌効果を有する可能性があることを当該実験結果が示唆し,天然治療抗癌剤としての可能性を示した、と結論付けている見解もあります。
参考:2019年「ヒト癌細胞株に対するアミグダリンの抗癌効果」論文
https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=201902280396339691
・アミグダリンの抗がん効果については肯定的に紹介している書籍も多くあります。これら書籍にはその効能に加えてガン克服に関する体験談が多く紹介されています。
・これらに共通に示されているのは、アミグダリンは青酸配糖体として含まれており、毒である青酸とは異なるということ、まさに青酸配糖体が抗がん効果を発揮するということです。(下記『家庭でできる…』より)
・ビワの葉のアミグダリンは、温熱療法を施した場合、皮膚を通って骨までしみこんでいくので非常によく温まります。そして細胞に活力を与え、血液を浄化する働きを助けます。アミグダリンはガン細胞も健康細胞にしてくれる程の力で、自然の恵みの尊さを体で感じ取ることができます。(『家庭でできる…』より)
・なぜ体に有効に作用するか?
アミグダリンは自然界に生育している果実の実や仁の中に多く含まれていて、その種類は1200種類以上にも及ぶといわれています。アメリカの生化学者エルネスト・クレブス博士ら研究グループは、各種実験の中で、アミグダリン溶液に、ベータグルコシダーゼという酵素を加えたものを、人工培養したガンを移植した動物の腹水ガン細胞に注入してみた結果、ガン細胞が100%死滅する状態が観察されました。これを顕微鏡下でみると、殺虫剤を散布された昆虫のようにガン細胞が死滅する状態が観察されたのです。
一般に、白血球がガン制圧に関与していることが知られています。ところがガン細胞はマイナス(負)の電荷を帯びたタンパク質の被膜に包まれていて、同時に白血球もマイナス(負)の電荷を帯びているため、反発しあって互いに近づけず、ガン細胞を攻撃することができません。そこでまず、ガン細胞の被膜を溶かす必要がありますが、そのために膵臓から腸の方に分泌される膵臓の酵素であるトリプシン、キモトリプシンというタンパク質分解酵素が必要となります。これらの酵素が、腸から吸収されて血液中に多く入ると、ガン細胞の被膜や、ガン細胞の一部までも消化溶解することが可能となり、その結果ガン細胞は、アミグダリンや白血球の攻撃を受け易くなり、死滅あるいは弱体化することになるわけです。
つまり、膵臓のタンパク質分解酵素が、ガン細胞の被膜を破壊し、次いで強力なアミグダリンが主役となり、同時に白血球が脇役となって、共同してガン細胞を破壊するという仕組となるわけです。
一方、人体中にはローダネーゼという保護酵素があり、ガン細胞以外の至る所に多量に存在しており、アミグダリンによってガン細胞が破壊されても他の健康な組織は、このローダネーゼによって保護されて、なんらの影響もなく、ガン細胞のみを選択的に攻撃して破壊するのです。
こうしてみるとアミグダリンは、ガン細胞破壊作用と同時に、私たちの身体の健康細胞に、各種の病気に対する抵抗力や抗病力を与えて、かつ、その活性度を高める作用があるということになります。
一点、注意すべきは、この時動物性たんぱく質やその脂肪・糖分を摂りすぎると、膵臓のタンパク質分解酵素がそれらを消化するために多く消費されつくして、血液の中に吸収される量が少なくなるため、ガン細胞の被膜を溶かす率が減るということです。従い、それらを多く摂る食生活は、ガン細胞を増やす傾向が強くなる懸念があります。つまり、動物性たんぱく質等を摂りすぎない、膵臓にあまり負担をかけない食事管理が大切なのです。(下記『成人病・慢性病に気持ち良く効く!…』より)
参考文献(以下に代表的な書名と参考ページを挙げておきます):
『成人病・慢性病に気持ち良く効く!ビワの葉+温熱療法』医学博士 三津間正/濱田久美子 文理書院 P103,108
『体と心がよみがえるビワの葉自然療法』望月研 池田書店 P26、30
『家庭でできる自然療法』東城百合子 あなたと健康社 P79、82、92
関連サイトリンク集
http://cocoro-yatsushiro.com/page4/bid-200006
https://crd.ndl.go.jp/reference/entry/index.php?id=1000096358&page=ref_view
https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=202402216665009856
https://www.healthbusiness-online.com/5395/
●ビワの選び方
皮に傷がなくピンと張りがあり、きれいなオレンジ色をしているもの、表面の産毛がしっかりとついているものが良品です。また、冷蔵庫など、低温にあたると痛みが早くなります。
●ビワの健康効果
ビワの果実や葉には様々な有効成分が含まれており、以下のような健康に対する効果が期待できます。
○生活習慣病の予防・改善効果
血液中の悪玉(LDL)コレステロールが増加すると、血管の内壁が脂質で分厚くなり、こぶのようにせり出して血管を狭めるため、高血圧や動脈硬化などが引き起こされます。ビタミンCやクロロゲン酸、タンニンをはじめとするビワの果実や葉に含まれる様々な成分には、血中の悪玉(LDL)コレステロールを減少させる働きがあります。さらに、ビワの果実に含まれるカリウムやβ-クリプトキサンチンには、血圧の上昇を抑える働きがあります。そのため、これらの成分が豊富に含まれているビワの果実や葉には高血圧を防ぎ、動脈硬化などの生活習慣病の予防や改善に効果的であると考えられています。
○ダイエット効果
ビワの果実に含まれるクロロゲン酸には、肝臓において脂肪を燃焼させる働きがあります。さらに、ビタミンB群には、糖質や脂質を効率よくエネルギーに変える働きがあります。そのため、これらの成分が含まれるビワの果実は、脂肪の蓄積を抑制し、肥満の予防・改善に効果が期待できます。
○感染症を予防する効果
ビワの果実に豊富に含まれているβ-カロテンやβ-クリプトキサンチンには、粘膜や皮膚を強化し、風邪や咳、のどの痛みなどを緩和する効果があります。
さらに、ビワの果実にはビタミンCが豊富に含まれています。ビタミンCは、血液中の白血球に多量に含まれており、体外から侵入してきた細菌やウイルスなどを撃退する役割を担っています。ビタミンCは白血球の働きを高め、ビタミンC自体も細菌やウイルスに対抗する力を持っています。これらの成分が含まれているビワには免疫力を高め、感染症を予防したり、病気の回復を早めたりする効果があるといわれています。
○老化防止効果
ヒトの肌は、紫外線などによって発生する活性酸素によって細胞が傷つけられ、老化していきます。ビワの果実に含まれるビタミンCやβ-カロテン、クロロゲン酸には強い抗酸化作用があり、活性酸素を除去して細胞の老化を防ぐ効果が期待されています。
○炎症を抑制する効果
ビワの葉に含まれているタンニンには殺菌作用があります。ビワの葉を入浴時に湯船に入れたり、煎じた液を湿布などの外用薬として使用すると細菌の増殖が抑制され、あせもや湿疹、肌の炎症の予防・改善に効果があるといわれています。
○下痢を予防する効果
ビワの葉に含まれるタンニンの殺菌作用によって腸内の悪玉菌が減少するため、悪玉菌による大腸の炎症によって起こる下痢を予防する効果が期待できます。
○疲労回復効果
ビワの果実には、クエン酸やリンゴ酸などの有機酸が豊富に含まれています。
激しい運動やストレス、不規則な生活によって細胞が酸欠状態になると、体内に疲労物質である乳酸が溜まります。有機酸には乳酸を分解しエネルギーに変える働きがあるため、疲労の蓄積が抑えられます。さらに、ビワの果実に含まれるビタミンB群には、糖質などの代謝に関わりエネルギーを効率よく生産し、神経や筋肉へエネルギーを運ぶ働きがあるため、疲労回復に効果があります。
●ビワの研究情報
【1】糖尿病マウスにびわ葉抽出物を1日当たり300mg/kg 、1週間~2週間摂取させたところ、総コレステロールやトリグリセリドの増加が抑制され、抗酸化酵素SODや血中インスリン濃度の増加が見られました。正常マウスでは血糖値の低下が見られたことから、びわ葉には抗糖尿病効果、生活習慣病予防効果が期待されています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19427773
【2】糖尿病マウスにびわの機能性成分トリテルペンを300mg/kg 投与したところ、血糖値と総コレステロール値、トリグセリド値が低下し、抗酸化酵素SODと血中インスリン濃度が上昇したことから、びわトリテルペンには糖尿病予防効果と生活習慣病予防効果が期待されています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19429317
【3】ヒトの細胞(肥満細胞)にびわ葉抽出物を投与すると、炎症関連物質TNF-α、IL-6, IL-8 の増加が抑制されたことから、びわには抗炎症作用があると考えられます。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19665545
参考文献
・本多京子 食の医学館 小学館
・Choi YG, Seok YH, Yeo S, Jeong MY, Lim S. 2011 “Protective changes of inflammation-related gene expression by the leaves of Eriobotrya japonica in the LPS-stimulated human gingival fibroblast: microarray analysis.” J Ethnopharmacol. 2011 Jun 1;135(3):636-45.
・Kim SH, Shin TY. 2009 “Anti-inflammatory effect of leaves of Eriobotrya japonica correlating with attenuation of p38 MAPK, ERK, and NF-kappaB activation in mast cells.” Toxicol In Vitro. 2009 Oct;23(7):1215-9.
ムクナ豆の効能について
●ムクナ豆とは
つる性のマメ科の植物で、1つの花房から数本がぶら下がるようにさやが付き、豆は黒・白・黄褐色をしています。インド原産といわれ古代から人々の健康維持に用いられてきました。日本では「八升豆(ハッショウマメ)」と呼ばれています。他の豆類と同様に、鉄分やタンパク質、炭水化物、脂質、ミネラルを含んでいます。特に鉄分は他の食物と比較して大変多いことがわかっています。
さらに最も特徴的かつ重要なのは、ムクナ豆にはドーパミンやアドレナリンの元になるL-ドーパが多く含まれていることです。またこれらにより、抗うつ作用、精力強化・EDの回復に効果ありといわれています。
ムクナ豆のL-ドーパ含量
L-ドーパはソラマメにも含まれますが、ソラマメ乾燥種子中の含有量は1,500~2,500㏙、一方ムクナ豆は50,000㏙とソラマメの約20倍の含有量があります。
(参照:『総説「生理活性についての食用豆の機能」』日本豆類協会 工学博士 星合和夫)
L-ドーパとは
ムクナ豆に含まれているLドーパ(エルドパ、レボドパ)はドーパミンの前駆物質(一つ手前の化合物)で、神経伝達物質として重要な役割をもつ前駆アミノ酸です。いきいきと活動するために必要なドーパミンの元となる物質で、加齢により不足しやすく、そうなるとスムーズに体を動かすことが難しくなるといわれています。
(L-ドーパとは:)
ドーパミンはやる気を起こしたり気持ちを前向きにする物質であり、体の健康を支える上で重要な役割を担っています。
高い栄養価:
ムクナ豆は9種類の必須アミノ酸をバランスよく含んでいます。
また栄養価も高く炭水化物・タンパク質・鉄分、脂質、カリウム、ナトリウムなども含まれております。
そしてムクナ豆に多く含まれているL-ドーパは神経伝達物質のドーパミンの補給のために有効であることから、体調維持、体力向上の健康食としても注目を集めています。
●ムクナ豆の利用
ムクナ豆は、煮豆やきな粉にして食べたり、茎や葉をお茶にして飲んだりします。
ムクナ豆は、「アク」が強いため、必ずあく抜きをして加熱調理して適量を食べる必要があります。
●ムクナ豆の効能
==内側から輝く美しい笑顔を!ムクナ豆で自信と明るさを育む==
期待される効能1:リラックスの鍵はムクナ豆にあり!ストレスを吹き飛ばす癒しの一粒
裏付け ムクナ豆に含まれるL-ドーパは神経伝達物質の一種であり、リラックス効果が見込まれています。
説明: ムクナ豆は自然の力でリラックスした状態を促します。その成分は神経伝達物質をサポートし、心身のバランスを整えます。
成分の1つであるトリプトファンはセロトニンという物質が脳内で生成されるのを助ける働きをしてくれます。
セロトニンとドーパミンのバランスが整い、ポジティブな気分や心地よい感情をサポートします。
期待される効能2:睡眠の質を向上させる秘密はムクナ豆にあり!穏やかな眠りを実感
裏付け:セロトニンは、睡眠調節に関与する重要な役割を果たしています。研究では、セロトニンが睡眠の質を向上させることが示されています。
セロトニンを誘発するトリプトファンは、良質な睡眠をサポートします。セロトニンの働きによって、より深い眠りや目覚めの質の向上を実感できるでしょう。
期待される効能3:自然の力でエイジレスな肌を実現!自信と自然な輝きを宿す
裏付け ムクナ豆に含まれるポリフェノールやビタミンCは、細胞の老化を遅らせる効果があると期待されています。
ムクナ豆は内側から輝く健康と美しさを引き出す成分が豊富であり、細胞のダメージや老化を抑制する効果が期待できます。その結果、健康な肌や若々しい外見をサポートします。
実は酸化から守る力のあるポリフェノール(苦みや色素の成分)がムクナ豆にも含まれています。
さらに、イソフラボンは大豆を含む豆類に多く、構造が女性ホルモンのエストロゲンに似ているためエストロゲンと似たような働きをしてくれるんです。
エストロゲンとは、髪や肌のうるおいを守り、脳や自律神経に働きかけ、女性の健康に大きく関与しているホルモンです。
さらに、豆類は加熱してもポリフェノールは減らないので、効率よく体内に入るそうです。
期待される効能4:パーキンソン病を改善する!
パーキンソン病とは、神経伝達物質であるドーパミンの生成量が減少し、脳からの指令が筋肉に十分に届かず、運動機能に障害が発生する病気です。
ドーパミンの生成量が減少する理由は、脳の中でドーパミンを作る細胞が減少することに関係があります。ドーパミンをそのまま摂取しても、脳内に届かないため、L-ドーパを代わりに摂取します。L-ドーパは脳に届き、脳でドーパミンに変換されてはたらきを示します。
ムクナ豆はLドーパを豊富に含んでいることから、パーキンソン病などに有効であると考えられています。
期待される効能5:生活習慣病を予防する!
糖尿病ラットを用いた動物実験により、ムクナ豆に食後の血糖値上昇を抑制するはたらきが確認されています。ムクナ豆は糖尿病予防に役立つと考えられています。
期待される効能6:疲労回復!
ムクナ豆はL-ドーパのほかにも、必須アミノ酸を豊富に含んでいます。
必須アミノ酸は動物の成長や生命維持に必要であるにも関わらず体内で合成されないため、食物から摂取しなければいけません。ムクナ豆はソラマメやいわしに匹敵するほど必須アミノ酸を含んでおり、疲労回復効果や成長促進に役立つと考えられています。
参考:ムクナ豆の研究情報(関連研究論文)
【1】ムクナ豆はパーキンソン病処置に使われる民間薬である。ムクナ豆の主要成分、L-ドーパはドーパミンニューロンにはたらきかけることから、ムクナ豆はパーキンソン病予防効果に役立つと考えられています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19384573
【2】糖尿病モデルラットを対象に、ムクナ豆を投与したところ、食後血糖値の上昇が抑制されたことから、ムクナ豆は糖尿病予防効果を持つと期待されています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21914541
【3】動物実験において、ムクナ豆はパーキンソン病予防効果と神経保護効果を示した。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/17622977
参考文献
・Kasture S, Pontis S, Pinna A, Schintu N, Spina L, Longoni R, Simola N, Ballero M, Morelli M. (2009) “Assessment of symptomatic and neuroprotective efficacy of Mucuna pruriens seed extract in rodent model of Parkinson’s disease.” Neurotox Res. 2009 Feb;15(2):111-22.
・Majekodunmi SO, Oyagbemi AA, Umukoro S, Odeku OA. (2011) “Evaluation of the anti-diabetic properties of Mucuna pruriens seed extract.” Asian Pac J Trop Med. 2011 Aug;4(8):632-6.
・Tharakan B, Dhanasekaran M, Mize-Berge J, Manyam BV. (2007) “Anti-Parkinson botanical Mucuna pruriens prevents levodopa induced plasmid and genomic DNA damage.” Phytother Res. 2007 Dec;21(12):1124-6.